東京地方裁判所 昭和47年(特わ)46号 判決 1972年7月21日
本店所在地
東京都杉並区永福三丁目五七番一九号
光建設株式会社
(右代表者代表取締役 原田徳七)
本店所在地
東京都杉並区永福三丁目五七番一九号
光商事株式会社
(右代表者代表取締役 原田徳七)
本店所在地
東京都杉並区永福三丁目五七番一九号
光開発株式会社
(右代表者代表取締役 原田徳七)
本籍
東京都杉並区下高井戸三丁目四三〇番地
住居
東京都杉並区下高井戸三丁目一七番二号
会社役員
原田徳七
大正一五年二月二六日生
各法人税法違反被告事件
検察官
西岡幸彦 公判出席
主文
1. 被告会社光建設株式会社を罰金一〇〇〇万円に、被告会社光商事株式会社を罰金一五〇万円に、被告会社光開発株式会社を罰金三五〇万円に、被告人原田徳七を懲役八月にそれぞれ処する。
2. ただし被告人原田徳七に対し本裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告会社光建設株式会社は、東京都杉並区永福三丁目五七番一九号に本店を置き、不動産の売買およびその仲介ならびに料理飲食業等を目的とする資本金一八〇〇万円の株式会社であり、被告会社光商事株式会社は、右同所(昭和四六年四月一日以前は東京都杉並区永福三丁目三三番一二号)に本店を置き、不動産の売買および賃貸ならびにその仲介業等を目的とする資本金二〇〇万円の株式会社であり、被告会社光開発株式会社は、前記杉並区永福三丁目五七番一九号(昭和四六年一月一五日以前は東京都新宿区西大久保二丁目二二三番地)に本店を置き、不動産の売買およびその仲介業等を目的とする資本金四七〇〇万円の株式会社であり、被告人原田徳七は、右被告会社三社の代表取締役として同各会社の業務全般を統轄していたものであるが、被告答原田は、被告会社各社の業務に関し、法人税を免れようと企て、それぞれ架空経費を計上するなどして簿外預金を設定するなどの不正な方法により所得を秘匿したうえ、
第一、一、昭和四二年一二月一日から同四三年一一月三〇日までの事業年度における被告会社光建設株式会社の実際所得金額が六一、一八五、三八八円あつたのにかかわらず、昭和四四年一月三〇日東京都杉並区成田東四丁目一五番八号所在所轄杉並税務署において、同税務署長に対し、所得金額が五、九〇〇、九〇二円でこれに対する法人税額が一、八五五、〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、同会社の右事業年度の正規の法人税額二一、二〇四、七〇〇円と右申告税額との差額一九、三四九、七〇〇円を法定の納期限までに納付せず、もつて同額の法人税を逋脱し、
二、昭和四三年一二月一日から同四四年一一月三〇日までの事業年度における同被告会社の実際所得金額が五〇、九八六、八九〇円あつたのにかかわらず、昭和四五年一月三〇日前記所轄杉並税務署において、同税務署長に対し、所得金額が四、七九〇、〇三二円でこれに対する法人税額が一、〇九六、九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、同会社の右事業年度の正規の法人税額一七、二六五、五〇〇円と右申告税額との差額一六、一六八、六〇〇円を法定の納期限までに納付せず、もつて同額の法人税を逋脱し、
第二、一、昭和四二年一二月一日から同四三年一一月三〇日までの事業年度における被告会社光商事株式会社の実際所得金額が一六、六五九、四九九円あつたのにかかわらず、昭和四四年一月三〇日前記所轄杉並税務署において、同税務署長に対し、所得金額が三、〇一〇、五七五円でこれに対する法人税額が八四三、五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、同会社の右事業年度の正規の法人税額五、六二〇、六〇〇円と右申告税額との差額四、七七七、一〇〇円を法定の納期限までに納付せず、もつて同額の法人税を逋脱し、
二、昭和四三年一二月一日から同四四年一一月三〇日までの事業年度における同被告会社の実際所得金額が八、三七六、五六一円あつたのにかかわらず、昭和四五年一月三〇日前記所轄杉並税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一、〇九七、八二五円で、これに対する法人税額が三〇七、一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、同会社の右事業年度の正規の法人税額二、七二一、六〇〇円と右申告税額との差額二、四一四、五〇〇円を法定の納期限までに納付せず、もつて同額の法人税を逋脱し、
第三、昭和四四年三月一八日から同四五年二月二八日までの事業年度における被告会社光開発株式会社の実際所得金額が四七、一四三、三五五円あつたのにかかわらず、昭和四五年四月二七日東京都新宿区北新宿一丁目一九番三号所在所轄淀橋税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一、三四三、三九四円でこれに対する法人税額が三七六、〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、同会社の右事業年度の正規の法人税額一、六二九万円と右申告税額との差額一五、九一四、〇〇〇円を法定の納期限までに納付せず、もつて同額の法人税を逋脱し
たものである。(なお、各年度の実際所得金額および税額の算定は別紙一ないし六に記載のとおりである)。
(証拠の標目)
全般につき
一、被告人の当公判廷における供述
一、被告人の検察官に対する供述調書二通
一、被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書一六通
一、佐藤岩太の検察官に対する供述調書一通
一、菊池重治の大蔵事務官に対する質問てん末書一通
一、登記簿謄本五通
一、押収してある左記証拠物(いずれも昭和四七年押第八五〇号で番号はその枝番を示す)
1、2、3の総勘定元帳三綴、5、総勘定元帳・現金出納綴、6、都民税・事業税・法人税申告控綴一綴、7、年度別経費内訳表等一袋、13、14の総勘定元帳二綴、18、総勘定元帳
各勘定科目につき(括孤内漢数字は別紙の各修正損益計算書の番号を、同アラビア数字はその各修正損益計算書中の勘定科目の番号を示す)
一、大蔵事務官岩田稔作成の売上金額調査書、架空売上金額調査書、仮受金勘定等の移動状況調査書各一通(一の1、二の1)
一、大蔵事務官藤島礼一郎作成の簿外経費計算明細表および大蔵事務官藤島礼一郎、岩田稔連名作成の簿外経費計算明細表その二(一の37、二の39、三の34、四の32、五の35)
一、大蔵事務官藤島礼一郎作成の銀行預金利息合計調査書および同岩田稔作成の預金内訳明細表(一の40、二の42、三の36、四の34、五の36)
一、大蔵事務官岩田稔作成の定期預金利息・八千代信金/渋谷・調査書、定期預金利息・武蔵野信金/永福・調査書、通知預金利息・八千代信金/渋谷・調査書、通知預金利息・松沢信金/代田橋・調査書各一通(一の40)
一、大蔵事務官岩田稔作成の定期預金利息・武蔵野信金/西武・調査書、定期預金利息・王子信金/巣鴨・調査書、通知預金利息・武蔵野信金/西武・調査書各一通(二の42)
一、大蔵事務官岩田稔作成の普通預金利息・八千代信金/笹塚・調査書、普通預金利息・大同信金/阿佐谷・調査書、定期預金利息・松沢信金/代田橋・調査書、定期預金利息・霞ケ関信組/西永福駅前・調査書、定期預金利息・大同信金/阿佐谷・調査書、通知預金利息・八千代信金/笹塚・調査書、通知預金利息・武蔵野信金/永福・調査書、通知預金利息・霞ケ関信組/西永福駅前・調査書各一通(一の40、二の42)
一、大蔵事務官岩田稔作成の普通預金利息・霞ケ関信組/西永福駅前・調査書、普通預金利息・武蔵野信金/永福・調査書各一通(一の40、二の42、三の36、四の34)
一、大蔵事務官藤島礼一郎作成の定期預金利息・八千代信金/笹塚・調査書一通(一の40、二の42、四の34)
一、大蔵事務官岩田稔作成の通知預金利息・大同信金/阿佐谷・調査書一通(一の40、二の42、四の34、五の36)
一、大蔵事務官宮内常助作成の定期預金未収利息額調査書一通(一の40、二の42)
一、大蔵事務官宮内常助作成の売上・受入手数料調査書一通(四の2)
一、大蔵事務官藤島礼一郎作成の架空経費と預り金関係調査書一通(三の10、11、16、17、20)
一、大蔵事務官宮内常助作成の前払利息調査書、仮名借入金に対する支払利息および戻し利息の調査書各一通(三の38、四の36)
一、大蔵事務官岩田稔作成の売上金額調査書一通(五の1)
一、大蔵事務官藤島礼一郎作成の架空交際費等の調査書一通(五の14、15、26、29)
一、佐藤岩太作成の「売上金額について」と題する上申書一通(一の1、二の1)
一、佐藤岩太作成の「商品棚卸等の明細について」と題する上申書一通(一の1、3、12、二の1、3、12)
一、佐藤岩太、川崎和子連名作成の「給料支払明細について」と題する上申書一通(一の13、二の13)
一、佐藤岩太、川崎和子、田窪妙子連名作成の「経費支払明細について」と題する上申書一通(一の15、17、19、21、22、26、27、32、二の7、8、10、11、15、17、19、21、22、26、27、32、34、35)
一、佐藤岩太作成の「原田徳七および原田さち子との取引について」と題する上申書一通(二の37、四の19)
一、佐藤岩太作成の「簿外仮名預金について」と題する上申書一通(一の40、二の42、四の34、五の36)
一、佐藤岩太、川崎和子連名作成の「仮払金、貸付金等について」と題する上申書一通(一の40)
一、佐藤岩太、川崎和子、田窪妙子連名作成の「給料支払明細について」と題する上申書一通(三の9、四の9)
一、右三名連名作成の「経費支払明細について」と題する上申書二通後綴分(三の10、11、16、17、20、四の10、11、16、五の12、15、19、26)
一、佐藤岩太作成の「売上金額について」と題する上申書一通後綴分(五の1)
一、佐藤岩太、川崎和子連名作成の「給料支払明細について」と題する上申書一通後綴分(五の10)
一、田窪妙子作成の「経費支払明細について」と題する上申書一通(五の12、14、15、19、26、29)
一、次の者の各大蔵事務官に対する質問てん末書
伊藤俊夫(一の1、二の1)、田川保夫(一の1、二の1)、野口敦(一の1、二の1、五の1)、竹内子(二の1、13、三の2、9、四の2、7)、笠原信義(一の40、二の42、三の36、四の34)、安田保(一の40、二の42、四の34)、黒田輝夫(三の2)、佐藤悌司(三の16、四の14)
一、菅谷晃久作成の「仲介手数料の光商事株式会社への支払の状況について」と題する上申書一通(三の2)
一、割鞘三和子作成の「借入金について」と題する上申書一通(一の40)
一、鈴木重治作成の「光建設株式会社、光商事株式会社、光開発株式会社との取引について」と題する上申書一通(二の15)
一、次の者の各作成にかかる預金取引についての上申書
須藤博(一の40、二の42、四の34)、高尾忠利(一の40)、酒井喜登安(一の40、二の42)、西村一作(三の36、四の34)、久山善生(一の40、二の42、三の2、36、38、四の34、36)、北出忠(二の42)、宮本正之(二の42)、市川喜三(一の40、二の42、四の34、五の36)、吉田光雄(一の40、二の42)、大坪勲(二の42)
一、杉並税務署長作成の「法人税確定修正申告書原本の証明について」と題する証明書・光建設株式会社分(一の38、二の40)
一、同・光商事株式会社分(三の35、四の33)
一、押収にかかる左記証拠物(いずれも昭和四七年押第八五〇号で番号はその枝番を示す)
4、給料明細表三綴(一の13、二の13)、8、売買取引メモ等一袋(一の1、二の1、五の1)、9、小切手帳七冊(一の13、二の13、四の34、五の36)、10、月別PR及売上明細表綴一綴(一の1、二の1)、11、土地売買契約書等一袋(一の1、二の1)、15、給料明細表(三の9、四の9)、16、売上カード一綴(三の2)、19、給料支払明細表(五の10)、20、契約書綴(五の1)、21、月別契約一覧表綴(五の1)、23、経費支払月別一覧表(一の1、15、17、19、21、22、26、27、32、三の10、11、16、17、20)
(法令の適用)
1. 罰条
各被告会社につき法人税法一五九条、一六四条一項(罰金刑選択)
被告人につき同法一五九条(懲役刑選択)
2. 併合加重
被告会社光建設株式会社および被告会社光商事株式会社につき刑法四八条二項
被告人につき刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第一の一の罪に法定の加重)
3. 執行猶予
被告人につき刑法二五条一項
よつて主文のとおり判決する。
(裁判官 池田真一)
別紙一 修正損益計算書
光建設株式会社
自 昭和42年12月1日
至 昭和43年11月30日
<省略>
<省略>
別紙二 修正損益計算書
光建設株式会社
自 昭和43年12月1日
至 昭和44年11月30日
<省略>
<省略>
別紙三 修正損益計算書
光商事株式会社
自 昭和42年12月1日
至 昭和43年11月30日
<省略>
<省略>
別紙四 修正損益計算書
光商事株式会社
自 昭和43年12月1日
至 昭和44年11月30日
<省略>
<省略>
別紙五 修正損益計算書
光開発株式会社
自 昭和44年3月18日
至 昭和45年2月28日
<省略>
<省略>
別紙六 法人税額計算書
<省略>